物理学者パウリの錬金術・数秘術

―物理学者パウリの錬金術数秘術ユング心理学をめぐる生涯-
著:アーサー・I.ミラー
訳:阪本 芳久
草思社 (2010/12/28 出版)
ISBN: 9784794217936
数字が表題という本。
137とは、ウィキペディアでは微細構造定数:1/137.035999074(本書では、1/137.035999084)、の分母の近似値である。
この微細構造定数は、電磁相互作用において結合定数を表す無次元の物理定数であり、おそらくは我々が存在するこの宇宙内全般において同じ値が定められていると思われる。
多元宇宙論による我々が存在する宇宙以外の他の宇宙ではその値が相違していることは、普通に考えられ、その場合元素そのものの生成が全く違った結果になる・・・ということだ。
パウリ自身は、有名な「パウリの排他律(排他原理)」で、かのアインシュタインの推挙でノーベル物理学賞を得ている。
 
そのことを知っている程度であったが、このヴォルフガング・エルンスト・パウリ自身の伝記では、幼少からの優秀な頭脳を持ったことでの人間性的な葛藤から、当時既に名声を得ていたカール・グスタフユングとの交流を通して一種の精神療養を施されていたことが明らかにされる。
パウリの生前、物理学と心理学との違和性からか、そのことをは非公開にしていた。
彼の業績は他に、ニュートリノ存在の予言、CPT対称性定理等がある。
 
晩年は、なぜ微細構造定数がそのような数値となっているか、の解明に心血を注いだが果たせなかった。
おそらく、人類はその理由を解明することは不可能であろう。
本書「エピローグ」によると、当時の知れられていた物理定数は7つだが、現在は26にもなるという。
ウィキペディアの「パウリ」の項の、「性格・人物評」の最下段”神との対決”を考えたのは、本書によると、(イスラム圏の)アブダス・サラム(アブドゥス・サラーム)であるということだ。(p389&p427)