ブラックホールを見つけた男

著:アーサー・I・ミラー
訳:阪本 芳久
草思社 (2009/08/01 出版)
ISBN: 9784794217189
前回「見えない宇宙」の中で、ブラックホールの存在を最初に理論的に唱えたのが、インド出身のスブラマニアン・チャンドラセカールであったことに触れられており、興味を持っていたところ、草加市中央図書館で偶然見つけて借りた本。
彼がブラックホールを理論的に指摘したのは時に、1935年。19歳であった。
しかし、今から見ればなんていうこともない、「ブラックホール」の概念は、留学先の英国学会の"重鎮:エディントン"から厳しい批判を受けた。
このために、ブラックホール研究は40年ほど停滞した・・・らしい。
チャンドラセカールは、白色矮星の理論上限質量(太陽の1.44倍)を最初に見出した人物で、1983年にノーベル賞を受賞した。
それ以上の質量を持つ星は、中性子星となるか、重力崩壊を引き起こして一気に重力エネルギーを解放させ爆発しブラックホールに移行するかのいずれかとなる・・・らしい。
似た用語に、チャンドラセカール・シェーンベルク限界、がある。
それは、星が膨張を開始して赤色巨星になるまでに水素の燃焼(核融合)によって生み出されるヘリウムの最大量を表し、ヘルツシュプルング・ラッセル図HR図)上で、星の進化の分類が可能になった別の概念である(p324)
 
今朝の朝日新聞「科学」欄に、「見えない物質どう探す」と銘打って宇宙の暗黒物質を世界中の科学者が検出にやっきになっていることを紹介していた。
小生の若い頃は、暗黒物質の存在がそんな(宇宙中83%)に及ぶことは常識ではなかった。
奇想天外な「物質」の性質がいずれ判明し、後世ではそれが常識となるのだろう。