ヒッグス

―宇宙の最果ての粒子-
著:ショーン・キャロル
訳:谷本 真幸
講談社(2013/10発売)
ISBN:9784062186070
2012年7月4日、ヒッグス粒子の存在が確かめられた、との報道が世界に流れた。
ヒッグス粒子」、それは何で、どういう意味を持つものか・・・と説いた本。
それは、物質になぜ質量があるのか、を説明する粒子と報道された。
それが分かることで、現代の我々が享受できるメリットはなにか?
書中、上記にたいする回答は、「なにもない」ということである。
しかし、歴史を紐解くと、かのヘルツは自分で作った電波検出器について何の役に立つのか聞かれて「まったく何の役にもたたない」と答え、実用面での応用について何か示唆するよう促されてもやはり、「たぶん何もない」と答えた。(p145)
その後の電波応用の展開、それ無くば現代社会はなりたたないことを考えると、基礎研究というものがいかに大切か・・・ということに思い至る。
目先の儲けの多寡の追求のみにて人間は生きているのではない、宇宙に在る我々が何故存在しているのか、どのように存在し得たか、について疑問を持ち追及しているのは、今分かっている範囲内では、人間のみである。
本書は、ヒッグス粒子の存在にまつわるいきさつから丁寧に説明することから始め、CERNの大型ハドロン衝突型加速器(LHC)が多くの科学者の協力で偉業をなし得たことを説明する。
一点、気になったところ・・・(p225)
オリヴァーが自らの言葉で自分の信用を失墜させることになったワグナーによるインタビュー
は、
ワグナーが自らの言葉で自分の信用を失墜させることになったオリヴァーによるインタビュー
ではないだろうか。