進化の存在証明

著:リチャード・ドーキンス
訳:垂水 雄二
原書名:THE GREATEST SHOW ON EARTH:The Evidence for Evolution
早川書房 (2009/11/25 出版)
ISBN: 9784152090904
進化は「論」ではなく、「事実」であるとして、「創造論者」の持論を打ち砕こうとして著された本。
読後、「進化論」よりも「進化定理」と表現した方が良いのではないかとの考えに至った。
「○○論」と表記すると、数多くある論説(それらには裏付されていない仮説も含まれる)のひとつ、との誤解を与えるおそれがある。
創造論の人達は、この点をついて、進化論は未だあやふやな内容を含んでおり目に見える確たる証拠がない、という論説を展開している。
確かに、日常生活を営んでいる中では「進化」を目の当たりにすることはない。
(2007.10/9「松井選手は、「進化」するか」を参照)
しかし現在の科学をもってすれば、地球は過去46億年前に誕生し、約6550万年前今のユカタン半島小惑星が衝突して恐竜が滅んで、哺乳類が台頭し紆余曲折の結果、今の人類に至ったということは、確実に言えることなのである。
もし、カンブリア紀の地層からウサギの化石が出現すれば、生命進化の学説は脆くも崩れ去る。しかし、そのようなことはなく、その時代に対応した生物しか化石で出土していないことは「事実」なのである。
進化定理は、DNAが生存競争の結果その情報が研ぎ澄まされ次世代に渡すことのみを主眼に置く。乗り物の生体がどんな苦しみ、悲しみ、苦痛、絶望を感じようとも無頓着である・・・そうだ。
なるほど、ここに宗教が存在する余地があるのか。
残念なことに、ほとんどの創造論者の方々は本書を読まないであろう。
それほど、過去中東遊牧民の一特定部族によって採用されていた説を採り上げた思想は、確固とした堡塁を築いているのだ。
 
p178では、
炭素14は5730年という半減期で窒素14に変わる
とある。一方続くp179では、
炭素14は着実に崩壊して炭素12に変わる
とある。
後者が間違いであろう。