見る

―眼の誕生はわたしたちをどう変えたか-
著:サイモン・イングス
訳:吉田 利子
ISBN:9784152089991
原題は、"The Eye"、即ち、「目」である。
我々が、見る、ということはどのようなことが行われれていて「見る」ことができるのかを検証した本。
人間の眼の網膜構造は、眼球中央部に近い方から、毛細血管・神経組織・視細胞、という構造になっている。これは、(もし、造物主がいると仮定して)合理的に考えられる順序の真逆である。
進化の過程で、「眼」は、その必要性から何回も創造されてきた結果が、そうなっているということだそうだ。
本書では、夜行性の脊椎動物の網膜にある反射板のことを、「タペーツム」と記している(p285)が、表記上は「タペタムorタペータム」の方が人口に膾炙しているのではないだろうか。
さて、2007.2/8に記した疑問が本書で解決した。
それは、眼の中の血管供給が間接的に見える「プルキンエ・ツリー」で、ヤン・プルキンエが一八二三年に初めて発見した(中略)それは網膜の見る部分が二つの組織層の下にあることを示している(p298)
ということらしい。そうだったのか、やっと納得した・・・感慨深いものがある。
 
誤植の指摘をひとつ(p172)
まっすぐに入った光だけが結晶を通貨する。
は、
まっすぐに入った光だけが結晶を通過する。
であろう。
 
さて、「見えないゴリラ」をお試し頂きたい。(p436)
2004年にイグノーベル心理学賞を獲得したダニエル・シモンズとクリストファー・チャブリスの、「人が何かに熱中しているときは、他の何かを簡単に見逃してしまうことを示したことに対して。たとえそれがゴリラの着ぐるみを着た女性であっても」
である。
REFERENCE: "Gorillas in Our Midst," Daniel J. Simons and Christopher F. Chabris, vol. 28, Perception, 1999, pages 1059-74.
映像は、
http://viscog.beckman.illinois.edu/flashmovie/15.php
及び
http://www.youtube.com/watch?v=vJG698U2Mvo&feature=player_embedded
で見られる。