人はなぜ感じるのか?

著:ビクター・S.・ジョンストン
訳:長谷川 真理子
日経BP社(2001/06/04 出版)
ISBN: 9784822242039
腐ったものが嫌な臭いを発し、砂糖は甘くて良く、棘が痛いのは何故か。
人間の脳が、そう感じるようになっているから、なのだ。
「そう感じる」ことは、主観的な評価感情であり、そうしなければ生きながらえる(遺伝子の伝承)ことはできなかったから、そうなった。
なぜ、空気の振動は見えず、ラジオ電波も見ることができないのか。それは、我々の生き残りに必要な情報ではなかった、ことからによる。
我々が、生きて生活しているこの世界は、各感覚器官を通じて各人の脳内で再構築されている、一種の幻想である・・・ことを説明した本。
以下、少々長いが、同感したため引用
人間は恐らく、自分が死ぬだろうとということを知っている唯一の生き物であり、死への恐怖は人間の理性的意思決定に影響を及ぼす。
もしも私たちが、自然科学的な人生の見方と、永遠の命を保証してくれる超自然的な人生の見方との二つのうちの一つを選ばなければならないとしたら、身近な感情に基づけば、後者の見方の方がずっと魅力があるに違いない。
さらに、自然科学は、理論を、「いまだ間違っていることが証明されない作業仮説」と見なすが、自然科学的でない見方は、しばしば「真実」として提示される。
人間の本性と人生の意味について、超自然的な見方がやはり一番人気があるとしても不思議ではない。(中略)
何らかの形で超自然的信仰を表明することなしには、合衆国の大統領には選ばれないだろう。(p282〜283)