文明の誕生

メソポタミア、ローマ、そして日本へ-
著:小林 登志子
中央公論新社(2015/06発売)
ISBN:9784121023230
中東に最初に人類が文明都市を構築した一帯は、現在なかなか地上アクセスしづらい状態にある。
かつてのNHK特集「シルクロード」では、不穏な空気は存在していたようだが、パルミラに入り撮影することができた。
ISに蹂躙されている現在では、その部分のDVDは涙なくして見ることはできない。
本書は、パルミラ以前の、そもそも人類が農耕を開始して文明というものを創設し更に発展していった頃の社会の概略を、発掘された品々から解説し、遠い日本との関係を簡略に説明している。
現在のイラクのイメージは、砂漠の国・・・という感じだが、Google衛星写真で見ると、案外灌漑された地域がある。特にティグリス川とユーフラテス川に挟まれたバグダッドから下流地域がそうだ。
NHK特集「シルクロード」でも、河口付近の葦が茂る一帯での生活は、その頃と現在とではさほど違わないかのような雰囲気の描写がなされていた。
本書の一番の読みどころは、「ウルのスタンダード」の解説。
大英博物館から最近それが来ていた。
ネット上での概要説明を遥かに凌駕する詳細な解説は、もし展覧会開催中に本書にあたっていたら、実物を見に行ったと思うくらい詳細なものであった。
その展覧会の開催期間は、2015年4月18日(土)〜6月28日(日)。
本書の発行日は、2015年6月25日。
残念。