地球の履歴書

新潮選書
著:大河内 直彦
新潮社(2015/09発売)
やや大上段に構えた書名だが、地球にまつわる過去の歴史を科学的な側面から描写した本。
2015年発行なので、最近の大地震の記述も取り入れられている。
地球の大部分を占める海について、プレートテクトニクスから海底火山まで最新の見解を述べる。
地中海の過去の歴史についても、メッシニアン塩分危機による岩塩形成から、黒海の地理的条件による独特の水分構成、更には一時的な地中海干上がり後の海水侵入による水位上昇の記憶が古代の人々に「ノアの洪水」として記述された可能性を記す。
また、ジブラルタル海峡にダムを建設して海水を堰き止めて地中海を湖とし、蒸発で湖面が下がることによってヨーロッパとアフリカを地続きとする計画が「アトラントローパ」という名称であったことを初めて知った。この構想は当時のドイツの体制と結び付けられて、現在は廃退しているようだ。
ウィキペディアに、
有馬温泉の温泉水の起源は瀬戸内海ではなく、太平洋(南海トラフ付近)の海水を起源とすることが、ほぼ解明された[要出典]。
とあるが、本書p187の注4にその出典が記載されている。