世界でもっとも正確な長さと重さの物語

−単位が引き起こすパラダイムシフト-
著:バート・P・クリース
訳:吉田三知世
日経BP社、2014年12月
ISBN: 978-4822285371
長さや重さの単位の変遷を辿った科学史
アフリカ黄金海岸の、砂金の取り引きで使用されていた真鍮の錘には、重り以上の文化的な意味が込められていたが、歴史の中に紛れてしまった。
人間そのものを使用して関連したものを表すと直感的に理解しやすく、それの表れが足:フィートとかいう言葉、ウィルトウィウス的人体図に反映されている。
商取引には「長さ」「重さ」の標準が必要だが、古代にはそれがなかった。
フランス革命で中世からの脱皮を図った人々は、世界:地球を元にした普遍化しやすい原理を取り入れて、人間の大きさに近づけた基準を持とうとした。
そのメートル法は、残念ながら「世界に冠たる大英帝国」と「世界の大国米国」には現在でも取り入れられていない。
本書中には、中国での実例が紹介されているが、ぜひ日本の例も取り上げて欲しかった。
旧尺貫法は、永六輔氏の抵抗に見られるように民衆に根付いていて、現に旧家のどこかにはいまでも鯨尺の物差しは転がっているだろう。
時間の1秒が厳密に定められた結果、うるう秒が必要となり、
質量1kgは、最近結論がやっと見えてきた。
ちなみに、1キログラムのことを、平気で1Kgと表す吾人がいる。
わざわざシフトキーを押下してまでの入力だから、“K”が正しいと確信しているのであろうが、間違いであることは論を待たない。

誤植が2か所あった。
p61:鄭和のフリガナが“ていれ”になっていた。正しくは「ていわ」
p194:香港はイギリス政府に割譲され←香港はイギリス政府に租借され