恐竜はなぜ鳥に進化したのか

―絶滅も進化も酸素濃度が決めた-
著:ピーター・D・ウォード
訳:垂水 雄二
文春文庫(2010/10)
商品コード 9784167651725
原著の題名は、"Out of Yhin Air":「薄い大気の中から」で、訳者あとがきには[成句として、“何もないところから”という意味もある]と記されている。
即ち、「恐竜」と「鳥」に特化した進化も物語と誤解を受けるような日本版の題名は不適当である。
著者が描く地球上の生物の進化のシナリオは、
・酸素が減ると、基本デザインが増加する
・酸素が増えると、多様性が増加する
というもので、カンブリア紀以前からの大気中の
・酸素濃度
二酸化炭素濃度
の推移(p74-75)により、各紀毎の生物進化を解説した本。

日本語訳では(原著には無い?)各種図版が付加されている(p416)とあるが、いっそ全ての生物に対しても図版を付けたら、一層理解が深まったであろう。

文庫化に当たり“意味の通りの悪い表現を改めた”とある。
が、p197の
カイメン類がサンゴに取って代わっており、
は、
「カイメン」→「サンゴ」
「カイメン」←「サンゴ」
の両方の解釈があると思う。