生命の跳躍

―進化の10大発明-
著:ニック・レーン
訳:斉藤 隆央
みすず書房 (2010/12/21 出版)
ISBN:9784622075752
進化史に飛躍的な変化をもたらした、生命の誕生/DNA/光合成/複雑な細胞/有性生殖/運動/視覚/温血性/意識/死を「発明」と捉えて解説した本。
もちろん、「進化」は、超越的な造物主がいて、意図的に為されたものではない。
その時々の地球上の環境に適応して適者生存の命題に沿った生物が生き残ってきた。
上記の各項目について、2010年時点での最新知見に基づいた内容である。
マット・リドレーは、「チャールズ・ダーウィンが墓からよみがえったら、私はこの好著を読ませて知識のアップデートをさせる」とまで言った(p434)
これは、名言。本書は、正しく名著である。
だが、「DNA」については、内容が専門的過ぎて、門外漢には少々難しい部分があったところを白状する。
光合成のメカニズムの説明では、いままで誤解していたことを知らされた。
いままでの誤解:太陽光のエネルギで二酸化炭素が酸素と炭素に分解することを光合成と呼ぶ
正解:太陽光のエネルギで水を分解し酸素を放出し、二酸化炭素から糖を合成することを光合成と呼ぶ
葉緑体が行う光合成の仕事が進化の過程で「Z機構」を生み出し、酸素が地球上に生み出された。それには何億年という時間が必要であった。
いま人間はその反応を確認することができた。ということは、人間の手によって更に効率の良い人工光合成によるエネルギー危機解決の方策があるのではないか。(p131)
という著者の要旨に期待を持つ。