コスモス・オデッセイ

―酸素原子が語る宇宙の物語-
著:ロ−レンス・M.クラウス
訳:はやしまさる
紀伊国屋書店 (2003/05 出版)
ISBN:9784314009362
宇宙の開闢から終焉までを原子の生成から消滅というマクロとミクロを対比させながら、地球生命の歴史及び未来を俯瞰した本。
前半のビッグバン直後から宇宙の透明性が確立するまでの描写は、残念乍小生にはよく理解できない難しいところがあったのを白状せざるをえない。
著者においては、各種資料を渉猟したあとが伺える。が、些か瑕疵を指摘せざるをえない。
p15の、「ブラウンは、1927年に、水中を漂う小さな花粉がこのような運動をするのを顕微鏡で観察し、」云々
の箇所である。
2005.8/14にこの逸話は誤りであることを記したが、いまでもブラウン運動=花粉、という風に短絡的に捉えられていることが伺える。
単純なところにこそ、原典にあたる必要があると思う。
地球上の生物は「左利き」、即ちタンパク質合成時においては、左手型のアミノ酸しか利用しない(p202)、ことは知らなかった。
また、p207で、炭素13が「枯渇」するとあるが、生体が利用する炭素12の方が「枯渇」するのではないだろうか。それは、p256でも、海洋に生命が満ちているときに(中略)炭素13が過剰である。・・・として記載されていることからも裏付けられる。