目的に合わない進化

-進化と心身のミスマッチはなぜ起きる-
著:アダム・ハート
訳:柴田 譲治
原書房(2021/03)
ISBN:9784562059119/9784562059126
出版社による本書の内容
肥満、依存症、暴力、フェイクニュース……進化は目的に適合するように進むはずではないのか?なぜ適応進化に反するような問題を人類は抱えているのか?進化の遺産と現代の人間との齟齬や、定説の真相

約16万年前に出現した解剖学的現生人類(上巻p23)は、今ここに至って多くの問題を抱えている。著者は英国的ユーモアを交えて何故かを解説する。

“肥満問題”について、原始採集生活に戻って“パレオダイエット”が提唱されていることを紹介するが、結局「エネルギー消費量よりエネルギー摂取量が少なければ減量できるという実に当たり前に事実」に帰している。

第8章 嗜癖の必然性、で各種ドラッグの有害性のランク付けをしている。(下巻p104)
1.ヘロイン
2.コカイン
3.バルビツール酸
4.メサドン
5.アルコール
・・・
8.アンフェタミン
9.タバコ
となっている
第五位にランクインするのはあらゆる職業、あるゆる階層の大多数の人に特別に愛されているドラッグ、アルコールだ。

古来、アルコール飲料は、穀物・果実から半ば自然的に生成されるため、一般化したと思われる。
それがために、“税金”の対象となり、国家が生産を管理している。
現在“酒・タバコ”を除き、ドラッグは「不法薬物」となっている。このため不正取引・悪の根源ともなっている。
これらを白日下に引き出して、国家が管理(税金化)することで、ブラック市場は追放できると思うのだが(現に、米国では大麻が税金管理下になっている州がある)・・・

二酸化炭素の温暖化問題についても
わたしたちは未来の自分自身のことを割り引いて考え、現在の自分を他の誰よりも優先的に扱う(下巻p182)ために、万人の意見が収束しない、と指摘する。

筆者の考え違い?
約2万年前「最終氷河期」が終わり、氷床が後退し、氷床が融解すると人間は北へ向かい、現在の北東シベリアとアラスカを接続している陸橋を渡った(上巻p98)
とある。
「最終氷河期」で、氷床が前進し、氷床が氷結したときに人間は、現在の北東シベリアとアラスカ間を接続して作られた場所を渡った
が正しいと思う。