科学はなぜわかりにくいのか

―現代科学の方法論を理解する-
著:吉田伸夫 
科学評論社 知の扉シリーズ
ISBN:9784774196503
著者がかつて大学講義で採り上げた「恐竜絶滅の小惑星絶滅説」を骨格に、「科学を方法論として捉え、その手法を具体的な論文に基づいて解説する」ことを目的とした本。

として読み始めたが、p8で、
鎖式炭化水素は、軽いものから順にメタン、エタン、プロバン、ブタン・・・
とあったので、早速ずっこけた。
鎖式炭化水素は、軽いものから順にメタン、エタン、プロパン、ブタン・・・
である。校正不足。

恐らくノーベル賞が与えられる条件としては、「科学的発見」というキーワードが相当すると思う。
これに対する著者の考えは、
体系に新たな知識を付け加えることではない。学説体系そのものを変革する(中略)新たな発見によって学説が修正され体系が作り直されていくべきダイナミックな知のシステム(p9-10)
これを敷衍すると、フラッシュメモリの発明者である舛岡富士雄氏にはノーベル賞は渡らない(かも知れない)。しかし、青色LEDの中村氏は受賞したので、「世の為に尽くした」点を考慮して、是非獲得して頂きたい。
閑話休題

1980年発表の小惑星説の原論文では、6500万年前としてあったが、国際層序委員会では6600万年前を採用している(p16)
何故、このように100万年の差異が生じたのか?
何処かに、解説しているところがあるのだろうか?

福島第一原発事故の要因である非常用発電機を海辺の地下に設置したのか?
の原因を、p171で、
冷却水を組み上げやすいように、海に近いタービン建屋に設置した
と説明がなされる・・・とあるが、
米国での原発基本設計時に、“砂漠の砂嵐に耐えられるように”との理由で地下設置したのであって、日本導入時にローカライズせぬまま漫然と導入したメーカ側にも非があるとの指摘も必要であろう。