歴史の語り手たち

―過去が人類の物語になるまで-
著:リチャード・コーエン
訳:山田 文
東京堂出版(2025/12)
ISBN:9784490211184/9784490211191
“歴史”は、人間が過去のできごとを、「その本人の立脚点」から書き表したものである。
その時点の内容は、やがて複数の観点から評価される。
本書は、過去の歴史を語って来た人々の評価を著者なりに記述した本。以下、引用多し。

クルアーンに疑問を投げかけることは、ムスリムでなくなることである(上巻p137)

ベーダの方法、すなわちキリスト誕生後にAD(主の年)、誕生前にBC(キリスト以前)とつけるやり方は彼の『イングランド教会史』が人気を博したことから普及した(上巻p169)

カテリーナ・スフォルツァは、彼女の幼子を人質に取られたとき、城の欄干に飛び乗り、
「やれるものならやりなさい。(中略)ほかの子たちを産むに必要なものはここにある」
とスカートをたくし上げて叫んだ(上巻p201)・・・これは有名な逸話・・・
(彼女は、レオナルド・ダ・ヴィンチの初期パトロンであったルドヴィーコ・スフォルツァ:ロドビコ・イル・モロの姪だった・・・)

マルクスは、
ファシズムと福祉国家という20世紀の二大勢力を予見できなかった(下巻p12)

トロツキーは、
レーニンの方法は次の事態を招く。党の組織が自ら「党」を代行し、中央委員会が党の組織を代行し、その挙句は「独裁者」が自ら中央委員会を代行するという事態
を描いた(下巻p18)

マーティン・エイミスは、
「マルクス主義者の計画の一番の欠点は、人間本性に逐一抵抗する点にあった」
と論じた(下巻p29)

『日本書紀』は「歴史上最大の偽書」と評されるほど捏造が多いにも関わらず、未だに権威を保っている(下巻p275)

司馬遼太郎は、
「教科書が嘘をつく国は「中略」必然的に崩壊する」。
また、ジョン・ルカーチは、
善人が悪い歴史を書くことはある。悪人がよい歴史家になることはない。
と著している(下巻p288)