ダーウィン

有名な「種の起原」では、主に動物の進化について述べ、人間自体の進化については注意深く言及を避けたが、キリスト教が信仰されていた当時の社会内では、生き物は神が創造したもうたのではない、という考え方はセンセーショナルに受けとめられた。
これは、種の起源から12年後の1874年に著され、人間の過去の進化について述べようとしたものである。
中央公論社刊、世界の名著39「ダーウィン」(1967年初版)
本書の巻頭、55頁にわたって今西錦司氏が持論を述べている。
その中及び本巻中で、「ウォレス」が「ワラス」として表記されている。
「ウォレス」とは、マレー諸島の著者:アルフレッド・ラッセル・ウォレス
(Alfred Russel Wallace)のことである。
アルファベットのスペリングをローマ字読みしたら「ワラス」、と確かになる。
「タロゥ・カード」を「タロット・カード」、「Warez」を「ワレズ」と読んでしまうのと同じ現象であろう。
閑話休題
内容は、当時世界中に住んでいた人々の特徴を各種文献から渉猟し引用した内容が多く、裏づけに乏しく冗長な印象を持った。
サルの子殺しについての項目もあるが、表層的にすべっている。現在では、なぜそのようなことをするのかについて、明らかにされているのだが、それは今だから言えるのであって時代的にはしかたがなかったか。
しかし、最後の最後でダーウィンがこの本を書いた理由が分かった。
「われわれが未開な原始人の子孫であることにはほとんど疑問の余地はない。荒れはてて蕭条とした海辺で、初めて一群のフェゴ島民を見たときに受けた感銘を、私は生涯忘れることはないであろう。(中略)フェゴ島民たちはすっ裸で、体には絵の具を塗りたくり、(中略)つかまえられるのを手あたり次第に捕らえて食べ、生活していた。」
とある。
その現実を見て、何の感慨も懐かないのか、なぜなんだろうと考えるのか、凡人と偉人の差であろう。