暦をつくった人々

−人類は正確な一年をどう決めてきたか-
著:デイヴィッド・E.ダンカン
訳:松浦 俊輔
河出書房新社 (1998/12/10 出版)
ISBN:9784309223353
現在世界中で標準的に使用されている「グレゴリウス暦」がどのようにして成立したかを紐解いた本。
ディオニュシウスが、AD(アンノ・ドミニ)西暦という概念を考えたが、紀元1年の前年は、紀元前(BC)1年だった。
西暦500年頃、グプタ朝インド・ヒンドゥーの天才アールヤバタは、1太陽年の長さをかなりの精度で見積もり、更には月蝕は地球の影であることを理解していた。
西暦700年代、ブリテンの修道士ビードは、天地創造は紀元前3952年3月18日と算出した。
科学の発展の視点から世界史を見たら、中世は、アラブ世界が飛躍的な時代だった。
アブ・ジャファール・モハメッド・イブン・ムーサー・アル・ファーリズミーは、その頃の偉大な数学者で、現在の「アルゴリズム」は、中世ヨーロッパ人が数学の研究を指すのに「アル・ファーリズミー」の名を用いたことに由来する。
1200年代に、イングランドの僧ロジャー・ベーコンが、実際の天文運行と(紀元前から用いられてきた)ユリウス暦の差異が無視できないことを教皇に信書を送った。
実際に各国でそれに改暦がなされたのは、1582年から1949年までの長期間に渡る。なぜか、何時の時代にも守旧派はいるからである。
ミクロレベルの日々の生活では、昨日の次が今日その次が明日、とたらたら飲んで、食べて、何もしないで過ぎ行くが、マクロレベルでは、外世界との整合性が必要となる。
時代の要請が、正しくUTC(世界標準時)を採用させ、現在の便利でありがたく使用させてもらっているGPSまでに及んでいる。