ネアンデルタール人の首飾り

著:フアン・ルイス・アルスアガ
訳:藤野 邦夫
監修:岩城 正夫
新評論 (2008/11/20 出版)
ISBN: 9784794807748
スペインで近年発見されたネアンデルタール人の大量の化石から話を展開し、現代人の幸福とは、また将来はどこに向かうのかを語りかける本。
単純なネアンデルタール人の化石の分析だけの話ではない。
以下は、金言。
p251引用
人間の意識を支配するのは能力自体を考える能力、つまり意識していることを意識する可能性である。(中略)意識はどこで発生し、どのようにしてわれわれにたどりついたのだろうか。
p305引用
ナポレオンは自分の軍隊の古参兵をひとりひとり認識できた
p317引用
われわれは分析能力のおかげで現実を無限の要素に分解することができる。そのうえ比類のない認識能力をもつくせに、大きな解釈の誤りを犯すことがある。(中略)われわれが人間的な解釈をあたえたときから、どんなとっぴなものも感情的な価値をもつようになる。(中略)われわれはラクダやラマに軽蔑するような表情があると思うことがあるので、「反感をそそる」動物だと形容する。
また、本書ではp28初出時には「チンパンジー」とあるが、それ以外では「チンプ」と表記されている。
おそらく、原書表記に沿ったのではあろうが、和訳では、「チンパンジー」のままでよかったのではなかろうか。