わたしたちはなぜ科学にだまされるのか

―インチキ!ブ−ドゥ−・サイエンス-
原書名:VOODOO SCIENCE(Park,Robert L.)
著:ロバート・L.パーク
訳:栗木 さつき
主婦の友社 (2001/04 出版)
ISBN:9784072289211
「日本の読者のみなさんへ」より
「われわれは自然の法則に支配された世界に暮らしており、魔法はけっして起こらない」ことを、本書を読んだみなさんに理解していただく、それがわたしの願いである。自然の法則は理解できるし、うまく利用することもできる。だが、どれほど信心深い人間であろうと、どれほど如才ない人間であろうと、自然の法則を出しぬいたり、その裏をかいたりすることはできない。
人の不安につけこんで世の中に蔓延する「ニセ科学」の本性を暴いた本。
・忘れた頃メディアに登場する「永久機関」を発明したと言う市井の人
・偽薬とそれを取り巻き金儲けを狙う人々
・いつまでたっても結論が出ない電磁波の安全性
等の事柄に対して、平明に科学者の立場から、騙され金を巻き上げられないよう説いている。
以外だったのは、現在地球の大気圏外を周回している国際宇宙ステーションISSに対して異を唱えていること。
確かに、「宇宙飛行士」が数名乗り組んでいるが、彼はその効果に疑問を投げかける。
ロボット開発が発展した現在では、生身の人間が大気圏外に常時いることはほとんど無意味だと言う。
米国のスペースシャトルが引退した今、現在の体制で地球周回を重ねることは、国家の面子で維持されている面があることを、鋭く指摘する。
たしかに、大意では、地球の大気圏内も「宇宙」の一部である。
大金を掛けて「宇宙飛行士」を育てても、実質「大気圏外周回者」でしかありえない。
今までは、「宇宙開発」は必要だと無邪気に思っていたが、そのような考え方もあるのか・・・とちょっとびっくり。
 
p103で、サリドマイド薬害のことに触れている。
さっくり読むと米国内でもサリドマイド薬害が発生したかのようにも取れるが、米国内では当該の薬害発生は食い止められている。
以下、wikipediaから引用・・・
アメリカでは1960年9月に販売許可の申請があったがFDA(食品医薬品局)の審査官フランシス・ケルシーがその安全性に疑問を抱き審査継続を行ったため、治験段階で数名の被害者を出しただけだった。1962年にケルシーはケネディ大統領から表彰されている。
・・・引用ここまで