大西洋漂流76日間

著:スティーヴン・キャラハン
訳:長辻 象平
ハヤカワ文庫NF
ISBN-10: 4150502307
1982年1月29日、大西洋のエルイエロ島から出航した一人乗りの小型ヨットがクジラ(?)と衝突して難破し、表題の76日後の4月21日、カリブ海西インド諸島マリー・ガラント島近傍で発見されるまでを、当事者が記したノンフィクション。
漂流物は、まず第一に著者が生き延びないと著すことができない。
また、ほとんどの日々がその日を生き抜くことを目的としているので、各日の記録(記憶)が失われることが多いと考えられる。
その中で、本書の著者は、漂流中に遭遇する数多の困難を手持ち材料を駆使した各種の工夫で生き抜いた。
海水蒸留器で真水を作り、手銛でシイラを突き、助かることを唯一の希望をしてゴム製の救命筏で過ごす。
途中、ともすればあきらめの心が芽生えるが、諦めず水没を防ぐ空気ポンプを根気よく動作させる。
遭難時の心がけとしては、決してあきらめない、という鉄則がある。それが見事に発揮され、最終的に生還した。
漂流ルート地図を初めとして著者自身の再現(?)写真や修理概要図で、大変わかりやすい。
サバイバルジャンルでは、屈指の作品。