隠れていた宇宙

著:ブライアン・グリーン
訳:大田 直子
監修:竹内 薫
早川書房 (2011/07/25 出版)
ISBN: 9784152092250
多元宇宙論を展開する著者の最新刊。
かつて、著者の本は、
「エレガントな宇宙」草思社(2001年)を2009.8/4に、
また、と
「宇宙を織りなすもの」草思社(2009年)を2009.7/19に、
それぞれ、紹介している。
本書の原書名は、THE HIDDEN REALITY:隠れていた真実、と大上段振りかぶったものであったが
邦訳では、「隠れていた宇宙」と対象を明確にしたものとなっている。
説くところは、複数の宇宙の存在を仮定する仮説であるが、3冊目にもなると、論理展開によどみがない。
理論的には、有り得ることでも、あまりに奇想天外な内容なので、当初は信じられなかった理論は、相対性理論である。
しかし、それは、光が重力で曲がることが実際に観測されたことや水星の近日点移動の説明ができたことで、世の中に受け入れられた。
ヒュー・エヴェレット三世は、後に「多世界解釈」と呼ばれる数学的結論を、教官であるジョン・ホイーラーに提出した。
が、それは大御所のニースル・ボーアから、黙殺された。
あまりにも、ありえない解である、という理由で。
現在、多元宇宙論は、それの実証ができ得ない、という理由で「仮説」の扱いである。
しかし、「起こる可能性のあることは、いつか実際に起こる。」
"If it can happen, it will happen."
というかの有名な「マーフィーの法則」が説くように、いつかその実存が広まる日が来るかもしれない。