上水道

全く真冬になったこの頃、有難いのが風呂である。
それは、栓をしてスイッチを入れ、フタをするだけで、入浴可能になる。
物心ついた頃、風呂は自宅の井戸から水を汲んで運んでいた。
注ぐ先は、表題のゴエモンブロであった。
風呂桶自体が鉄製であり、その底を直に薪火で炙る形式のため、沸かしている最中に入浴するとあちあちであった。
直接足が底に触れないように、「サナ」を使用していた。
「サナ」とは木製の落し蓋で、入るときはそれを踏みつけて湯中に沈めて入る仕組みのものである。
当時近隣の各戸にはそれぞれ井戸があり、日常生活の煮炊き等すべてを賄っていた。
便所は、これまた当時普通の「ぼっとん便所」で、大の時はお釣りを貰わない様落とす角度を工夫していた。
夏になると、極普通に蠅が蛆虫を発生させいるのが観察できたが、当時はなんとも思わなかった。
ある程度纏まると、コエタゴに柄杓で汲み、「肥」として畑に撒いていた。
今から考えると、回虫の温床のような生活様式であった。
閑話休題
小学校の頃、「水道ができる」ということで、できたばかりの水道施設に見学に行った。
今、調べてみると、どうやら「西祖配水場」であったような気がする。
http://www.water.okayama.okayama.jp/quick/press/press069.pdf
によると、昭和41年に開設されたようだ。
説明のおじさんがひどく偉ぶって説明していたのを覚えている。
我が家にも上水道が通水された。
コックを捻ると水が出るようになったので、水汲み仕事は無くなった。
が、風呂焚き仕事は、ゴエモンブロがある限り継続した。
現在、風呂は、簡単な操作だけで、入浴可能になる。
ごく普通なことではあるが、このような快適な生活を世界のどれだけの人々が享受できているのか・・・と思う。