中央アジア探検記

著者:ウラディミール・アルセーニエフは、ロシアの探検家である。
筑摩書房、現代世界ノンフィクション全集、第十二巻には、著者が探検した「中央アジア探検記 ; 白ナイル ; シベリアの密林を行く」が収められている。
何気なく読み始めたのだが、最後のシベリア・ウスリー地方の探検で、軍隊の測量調査に同行する原住民の猟師が出色である。
彼は、ゴリド人という出自ではあるが、好天下・その後の大嵐の襲来にいち早く気付き、探検隊一行を事前に備えさせることができる能力があり、一種自然と同体した存在である彼を著者は深く尊敬するようになる。
その彼の名前は、デルスゥ・ウザーラ。
黒澤明監督作品「デルス・ウザーラ」の原作であったのだ。
年の初めに当該映画が放送された。
1975年 アカデミー賞 外国語映画賞を当時のソ連が受賞しているだけあって、大自然描写に優れた映画になっている。
一点だけ、映画独特の表現に気付いた。
画面右の太陽の位置の場合、左上の月は本来では三日月になるのが正しいが、それでは冴えないので、敢えてそのようにしたのであろう。