エネルギー400年史

-薪から石炭、石油、原子力再生可能エネルギーまで-
著:リチャード・ローズ
訳:秋山 勝
草思社(2019/07/23)
ISBN:978-4-7942-2407-1
エネルギーの形態を、「動力」「照明」「新しき火」の視点から、今迄知られていなかった人物にも光を当てつつ描いている。
筆力が立っているのは当たり前で、かの名著「原子爆弾の誕生」の著者でもある。
「エネルギー」とは、抽象的に言い換えると、人間の苦しみを軽減するたゆみない事業、のこと。(p552)

出版時期的に、かの福島原発事故にも触れている。
非常用電源装置が原子炉建屋の海側地下に設置されていたことを指摘する。
米国のオリジナル設計では、竜巻の被害を避けるため地下に収めるのは良い考え方ではあった。日本では津波襲来の恐れが有るにも関わらずそのまま無評価に持ち込んだ。
本当の技術者が居れば、非常用電源装置は後位の山上に設ける設計変更を施すことは十分可能であった。
地下になだれ込んだ海水で、重要なバックアップ装置は使い物にならず、どんなに電源車を招集しても、なすすべは無かった。

地球温暖化の抑制:脱炭素化社会の実現に向けて、「薪」「石炭」「石油」「ガス」「原子力」と変遷していった歴史の栄枯盛衰グラフ(p547)で次世代の「新」エネルギーグラフの改訂版をp549で「再生可能エネルギー」と表しているが、弱点があることを著者は指摘している。

下記は誤記であろう。
(p314)
誤:だが、交流にはそれができたし、そうやって使われていた。
正:だが、直流にはそれができたし、そうやって使われていた。
(p323)
誤:通常のこの電流で命を落とすことはないとはいえ、
正:通常のこの電圧で命を落とすことはないとはいえ、