少年時代

著:安野光雅
山川出版社(2015年4月)
ISBN:9784634150720
2020年12月に身罷った理数系に造詣が深い画人。
故郷津和野の夢見がちな少年が過ごした日々と、絵描きをめざした青年期の思い出。好奇心いっぱいの少年の心を思い出し描いた本。
勉強について、数学者藤原正彦の著を引き、
それはインポータントではない、インタレストなのだ(p42)
とある。
勉強は(嫌なことをする)苦行では無く、(新しいことを知る)好奇興味という言葉は心に沁みる。

文化と文明の対比について、司馬遼太郎の著を引き、(p154)
文化:方言、垂直、閉鎖、農村
文明:共通語、水平、解放、都会
とする。この相互間の相克がドラマを生み出す。
今の子供は全員地動説を教わっているが、普段の生活では太陽は自分を中心に回っていると実感しているだろう。
今の大人も殆どは地動説と答えるだろうが、一部の大人は自分が宇宙の中心という天動説に基づき行動する結果、各所で軋轢を引き起こしている。

ビートルズジーパンで舞台にあがるなどしてにわかにジーパンが万人のものになった(p166)
という記述は、著者の思い違いであろう。