化石が語る生命の歴史、3分冊

11の化石・生命誕生を語る[古生代
8つの化石・進化の謎を解く[中生代
6つの化石・人類への道[新生代
著:ドナルド・R・プロセロ
訳:江口あとか
築地書館(2018年4/5月)
ISBN:9784806715566,9784806715573,9784806715580
原著"the story of life in 25 fossils"2015を3分冊にして訳出した本。
英語書籍でやや長くなっているものを上下巻に分けて和訳する例は多々ある。
本書は、内容的に上下巻にするには苦しく、3分冊にせざるを得なかったようである。

内容的には、評価が定まった化石の紹介と最新の状況を大変分かりやすく、各世代別に記述している。
各世代の化石発掘学者の紹介は、できるだけ影の部分に触れないよう上手に処理している。
ティーヴン・ジェイ・グールドの「ワンダフル・ライフ」で主張された「カンブリア大爆発」についても、直接的ではなく、
・「ゆっくり燃える導火線」第1巻p48
・生命が「爆発的」に増えたのではなく、増えたのは鉱化した骨格を持つ動物だった。第1巻p55
のように形容している。

K-Pg境界(KT境界)に対する著者の言及は、第1巻p74で、
6500万年前にインドで起こった大量の溶岩を噴出した噴火によって恐竜が絶滅
のように、全く定説とは違った立場にあるようだ。

1956年、“先カンブリア紀岩石には化石は無い”と信じられていたその頃に、英国で15歳のティナ・ニーガスが発見した化石には彼女の名前に関係なく化石を渡された地質学教授メイスンの功績となって“チャルメニア・マソニ”と命名されてしまった。第1巻p22-25
歴史の闇・・・