「第二の不可能」を追え!

理論物理学者、ありえない物質を求めてカムチャツカへ-
著:ポール・J・スタインハート
訳:斉藤隆央
みすず書房(2020年9月)
ISBN:9784622089346
著者は理論物理学者で、主な研究は宇宙論と物性物理学。
宇宙論では、インフレーション理論
・物性物理学では、準結晶として知られる新しい物質の理論を提唱
本書では、後者の方の理論探求の経緯を記している。

あのリチャード・ファインマンから薫陶を受け(曰く、自分が一番欺きやすい)、ロジャー・ペンローズが発祥となった二次元タイル貼りを三次元に展開することを探るなかでその頃の物理学者が否定していた物性形態:準結晶の存在が宇宙空間で育まれたことを提唱した。
言うだけではなく、自らロシアシベリア地方まで検証に出かけて、ハティルカ隕石の細粒を分析してその存在を実証した。

準結晶については、現物を紹介したダニエル・シェヒトマンがノーベル化学賞を獲ってしまっている。

p116で、フランスシットラム社のサイバノックス フライパンとして、焦げ付き防止コーティングが合成準結晶を応用した工業製品として存在している・・・とある。
当該社のフライパンのサイトを見たが、ステンレスの鏡面仕上げは分かったが、特段コーティングに言及してはいなかった。